文化譜(ぶんかふ)は三味線の楽譜の書き方のひとつで、四世杵家弥七が大正11年(1922年)に考案しました。民謡などの教本で広く使われています。3本の線が3本の糸を、線の上の数字が左手で押さえる場所(勘所)を表すので、五線譜が読めなくても、どの糸のどこを弾くかがそのまま分かります。
このページの譜例は、すべて文化譜エディタで書いたものです。
3本の線は糸
横の3本の線は、上から三の糸・二の糸・一の糸です。いちばん下の一の糸がいちばん太く、音が低い糸です。数字がどの線の上にあるかで、どの糸を弾くかが分かります。
曲の頭には、調子(本調子・二上り・三下り)と拍子(四分ノ二拍子なら、1小節に1拍の音が2つ)が書いてあります。
数字は勘所
数字は左手で押さえる場所(勘所)の番号です。0 は何も押さえない開放の音で、数字が大きくなるほど音が高くなります。
- 勘所は 0・1・2・3・#・4・5・6・7・8・9・b・10 の順に、半音ずつ高くなります。# は3と4の間、b は9と10の間です。
- 10 は 0 のちょうど1オクターブ上です。その先は 11・12・13・1#・14…と、1の位が同じ並びをくり返します(13 は 3 の1オクターブ上)。
- 勘所の場所は、棹に貼る勘所のシール(譜尺)で確かめると覚えやすくなります。
下線は音の長さ
数字の下の線の数で、音の長さが分かります。四分ノ二拍子の曲なら、次のとおりです。
| 下線なし | 1拍(四分音符) |
|---|---|
| 下線1本 | 半拍(八分音符)。2つで1拍 |
| 下線2本 | 4分の1拍(十六分音符)。4つで1拍 |
| 下線3本 | 8分の1拍(三十二分音符) |
| 数字の右の点 | 付点。その音の1.5倍の長さ |
| 上の「3」の括弧 | 三連符。3つの音で、2つぶんの長さを等しく分ける |
休符と延ばし
- ● は休符です。その長さだけ音を出しません。休符にも数字と同じように下線や付点が付きます。
- —(横棒)は延ばしです。前の音をそのまま延ばします。「6 —」なら、6 を2拍ぶん鳴らします。
演奏の記号
数字の下などに小さく書くカタカナは、弾き方の記号です。
| ス | スクイ。撥で糸を下からすくい上げて鳴らします。 |
|---|---|
| ハ | ハジキ。撥を使わず、左手の指で糸をはじいて鳴らします。 |
| ウ | ウチ。撥を使わず、左手の指先で書かれた勘所を打って鳴らします。 |
| スリ | 押さえた指を糸の上ですべらせ、前の音から次の音へ移ります(スリ上げ・スリ下げ)。 |
| オシ | 押し撥。角かっこでつないだ2つの音を、撥を押し進めて続けて弾きます。 |
| ケ | 音を消します。 |
指の番号
数字の上のローマ数字は、勘所を押さえる左手の指です。Ⅰ は人さし指、Ⅱ は中指、Ⅲ は薬指、Ⅳ は小指です。
和音
縦に並んだ数字は、同時に弾きます。三味線では、二本の糸をいっしょに鳴らすことがよくあります。
繰り返し
太い線と点の記号ではさんだところは、もう一度弾きます。「1.」「2.」のかっこがあるときは、1回目は 1. のかっこを弾いて最初へ戻り、2回目は 1. を飛ばして 2. のかっこへ進みます。
唄の譜
唄の節は、線を使わずに歌詞の下へ数字で書きます。数字の下の点で、三味線のどの糸の音かを表します。
- 点なし:三の糸
- 点2つ:二の糸
- 点1つ:一の糸
数字の下線は、三味線の譜と同じく音の長さです。語るところ(節の無いところ)は × で書きます。
調子の合わせ方
一の糸の高さは、自分の声の高さ(合奏なら、ほかの楽器)に合わせて決めます。二の糸・三の糸は、次のように勘所の音と開放の音(0)を同じ高さにして合わせます。
| 本調子 | 一の糸の4 と 二の糸の0、二の糸の6 と 三の糸の0 を合わせる |
|---|---|
| 二上り | 一の糸の6 と 二の糸の0、二の糸の4 と 三の糸の0 を合わせる(本調子の二の糸を一音上げる) |
| 三下り | 一の糸の4 と 二の糸の0、二の糸の4 と 三の糸の0 を合わせる(本調子の三の糸を一音下げる) |
書いてみる
文化譜は、流派や教本によって細かい書き方が違うことがあります。このページは、民謡で広く使われている書き方に合わせています。正式な書き方は、文化譜の教本(杵家彌七出版など)をご覧ください。
文化譜エディタとこのページは、合同会社みんふう楽器店が独自に作ったもので、杵家・杵家彌七出版や文化譜の教本の出版社とは関係がありません。
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